四倍体舞扇  よんばいたいまいおうぎ  MAIOUGI  4X

肥後系   中晩生   藤紫に白筋の入る六英花。花径は20cmを越す極大輪。
草丈は80cm以上になる。性質は弱く、繁殖も悪い。

光田義男氏が、1995年に「舞 扇」をコルヒチン処理で、染色体数を4倍体に変化させたもの。
「舞扇」にくらべ大輪で、花弁の質が厚い感じを受ける。株もややごつごつと大型になる。

光田氏は、1997年に亡くなられ、この品種あたりが最晩年の作となる。氏は長年に渡り数多くの
品種を作出され、晩年には濃桃赤色の肥後系などを作出され、多くの名花を残されたが、それも
もうこれ以上行なっても素晴らしい花は出ないとして、80歳を過ぎられてからコルヒチンによる
倍数体の作出を試みられた。染色体数が倍化することで、花も葉も雄大になる。この当時の花
として、「四倍体大草原」という品種も作出された。
しかし、花菖蒲を倍数体すると、確かに大柄にはなるのだが、どこか花菖蒲らしい品のようなもの
が全くなくなってしまい、また繁殖力が極端に落ちるようで、今まで何人かの方が試されてはいる
のだが、普及するには至っていない。この「四倍体舞扇」も、花は確かに大きいが、性質が弱く
殖えない。ただ、光田氏最晩年の花であることと、実物を見ようとしてもなかなか見られない花では
ある。