八ヶ岳   やつがたけ   YATSUGATAKE

江戸系   極早生   白地に藤紫砂子と紫脈、鉾は紫の三英花。花径はおよそ14cm前後の
小中輪。草丈は100cm前後。

極早生咲きで、東海地方で5月20日頃に満開となるので、開園序盤の花菖蒲園にちょうど良い
品種である。ただ、一度に咲き、長期間は開花していないので、他の花が見頃を迎える6月に入る
頃には、咲き終わっている。
一輪の花は単純だが、多く咲いても嫌味がなく、かえって美しい。他の品種を引き立て自らも美しく
風景ともよくマッチする。こういった品種は意外と少なく、貴重である。

作者は吉江清朗氏で、氏は戦前、神奈川県農業試験場に在籍して花菖蒲の品種改良を行った宮沢
文吾博士の、大分での早生花菖蒲品種改良の後を継ぎ、1962年頃から改良に着手し、1970年代に
かけて多くの極早生系花菖蒲を作出した。これらは「吉江系」と呼ばれた。

氏の作品には、本種や、「霧ケ峰」、「辰野」、「辰野の青空」、「諏訪御寮」など、氏が住んだ長野県
辰野町周辺の地名を名前にした品種が多い。