鶴の毛衣   つるのけごろも   TSURU NO KEGOROMO

江戸系   中生   純白の気品ある三英花。花径はおよそ16cm前後の中輪。独特の先端がやや
尖ったような花弁が特徴。草丈は60cm前後。性質は弱く繁殖も少ない。

江戸花菖蒲古花のなかでも、松平菖翁の作出した「菖翁花」と呼ばれている品種の一つで、菖翁花は
現在10数種類が現存しているものと思われる。
この品種は、菖翁の花菖蒲品種目録「花菖蒲花銘」に記載され、菖翁花の中ではよく知られている。


菖翁昔語り その5
菖翁という人物を知るには、「花菖培養録」を読んでみると良い。加茂花菖蒲園のホームページにUPされて
いるし、現代語に訳になってているので、読むのは簡単である。難しい内容でもないし、菖翁の花菖蒲を思う
気持いたる所から伝わってくる。園芸の古文書としても、何度読んでも興味深い内容である。私は自序の個
所は暗記してしまった。そして、この本の内容を知ってこそ「宇 宙」の良さがわかるというものである。

この本を読んでみると、菖翁は花の品格ということをしきりと言っている。世間で一般に広まっている花は、単
純な平咲きで品がないものであるとか、「花の位においては三英に限るけれども、近年珍しく(豪華な)花が出
尽くしたので、三英、六英のような花は見慣れてしまって眼を驚かすことはできない。三英花と並べると、花の
品位は劣るけれども、八重千英の花形は昔にはなかったもになので未曾有の珍花である。」というふうに、花
の品格を重視した上で、自らが作出した八重咲きのことを語っている。