滄茫の渉   そうぼうのわたり   SHOBHO NO WATARI

肥後系   中生   藤紫に白筋が入り、花弁の中心部は白ぼかしになる六英花。花径はおよそ
18cmほどの大輪。衆芳園の西田信常翁が昭和初期に作出した品種。名花として有名な「舞 扇」
の親としても知られている。

信常翁は熊本で生まれたが、大正12年に横浜で植木業を営むにあたり、熊本満月会に在籍した父、
貞幹とともに横浜に移住し、そのとき熊本から熊本花菖蒲を横浜に持ち込み、「衆芳園」を開業し、
熊本花菖蒲の販売を行った。それまで熊本花菖蒲など見たこともなかった関東の人々は、その豪華な
花におどろき、またたく間に広まった。これが日本花菖蒲協会設立の原動力となるとともに、戦後の
肥後花菖蒲と花菖蒲ブームの基礎となった。