早乙女   さおとめ   SAOTOME

伊勢系   早生   やや薄い桃色の花弁に藤紫の脈が入る垂れ咲きの三英花。花径はおよそ13cm程度の中輪。
草丈は50cm程度。繁殖はやや劣る。

伊勢花菖蒲の古花の一つ。古くから松阪地方で栽培されてきた品種。垂れ咲きの花形とおだやかな花色を持つ、
伊勢系の特徴をよく表わした花である。

伊勢系のそれも古花の類は、江戸系や肥後系とともに植えるとどうしても見劣りするが、それのみを鉢で仕立て、
じっくり観賞するには、まことに品の良い奥ゆかしい花が多い。しかし、個人の方で、伊勢系を専門に作っておられる
方は、全国的に見た場合、きわめて少ないと思う。そもそも伊勢系を育種した人がは、松阪の人たちを除くと、三重
大学の冨野先生と、津の伊勢花菖蒲園の前田氏くらいだし、この2人の品種も最近は殆ど流通していない。
鉢作りにするには花が小さく、個人は大きく派手な光田氏の品種などに目を奪われ、露地植えにするには草丈が低い
し花が小さいので、花菖蒲園に向く品種が少ないというのが普及していない理由のようである。