桜獅子   さくらじし   SAKURA JISHI

伊勢系   薄紅に咲き出し、2日目には桜色になる六英咲き。花径はおよそ16cm程度の中輪。
六英だが花弁が狂い獅子咲きになる。葉は緑濃い剣葉で、草丈は100cm弱。性質、花色は普通。

三重大学名誉教授の故冨野耕治博士が1952年に作出した品種で、伊勢系古花の「乙女」の実生
と1972年6月号のガーデンライフ誌に書かれている。それまで、伊勢花菖蒲は三英花ばかりであたtが、
偶然、六英咲きの個体が出現して、六英咲きは伊勢系ではタブーであったが、花弁の質や草姿などに
伊勢系の特徴を持っているとして、六英咲きの伊勢系という新しいジャンルの花を発表した。同じジャンル
に入る花に、「白獅子」、「若獅子」があり、これらは肥後系との交配により作出された。

この品種は、光田氏の濃桃赤色花を含む多くのピンク花の親であり、光田氏はこの品種をもとに十数年間
改良を重ねられ、1973年頃、ついに名花「千 姫」を作出された。

こんにちでは六英のピンクもさまざまな良花が作出され、色薄く花も小さなこの品種はあまり栽培されな
くなったが、光田系の濃桃赤色花や紅砂子系品種の出発点として、ひじょうに歴史的な品種であると言える。