青森県六ヶ所村の川沿いの草原に自生するノハナショウブ

青森県三沢市の小川原湖畔から、六ヶ所村、東通村の海沿いの草原地帯にもノハナショウブが多く見られる。
タイプ的には北海道のものに近く、花色が濃紅紫色で、性質の丈夫な系統。また多少の色変わりも見つかり、
紅色が退色して、薄紅になった個体も見られた。上の画像は高瀬川河畔。下は、尾駮川の河畔草原で撮影した。
開花時期は例年7月上中旬くらいかと思われる。



一般的な紅紫だが、花弁中心部の黄色目が大きい個体。

「花菖蒲」の字を「はなしょうぶ」と読み、こんにちの花菖蒲を指すように定めたのは、明治の植物学
者である。
江戸時代までは、「あやめ」、「はなあやめ」、「沼菖蒲」、「花かつみ」、「花しょうぶ」などさまざまな
名前で呼ばれた。今でも関東から東北にかけては、潮来のあやめや長井のあやめなど、花菖蒲を
あやめと呼ぶ地域は多い。

さて、この「あやめ」であるが、語源がいまひとつはっきりしない。万葉集に「あやめぐさ」という名前で、
菖蒲(サトイモ科)のことを詠んだ歌は何首も残っているから、この時代からのものだったことはわかるが、
「あやめ」の語源がわからない。さまざまな説があるが、どれも今一つしっくり来ない。当園主の加茂は、
ノハナショウブのこの鮮やかな黄色い目を「綾 目」として、これが語源であるという説を持っている。
うっそうと生える草むらで、こんな花の鮮やかな黄色い目を見ると、この説もなんとなく頷ける気がする。