熱砂の舞   ねっさのまい   NESSA NO MAI

肥後系   濃紅に底白ぼかしの六英花。花径はおよそ18cm程度の大輪。

光田義男氏が1957年に作出した品種で、氏の作花の中ではもっとも初期の頃の
作品の一つである。光田氏の初期の花は、堂々とした花が殆どで、氏が肥後熊本の
花の品格の高さを、ひじょうに大切に捉えていたことがわかる。後に華やかな色彩の
花を多く作出された光田氏だが、花の芯の形をひじょうに重視しておられた。


戦前から肥後系に興味を持たれ、そして西暦2000年にこの世を去られるまで、氏は一貫
として肥後系の品種改良に取り組んで来られた。普通の凡人なら、月日が経つうちに飽き
てしまったり、好みが変わったりして、なかなか一つのことをやり遂げることはできないが、
氏はそこが違っておられた。この花を追求することを自分の生きている証として、自分の支
えとして捉えておられたのではないだろうかと、私は思う。氏の花は、一つに打ち込むことが
どれほど大切かを、まざまざと教えてくれる気がする。