五三の宝   ごさんのたから   GOSAN NO TAKARA

江戸系   中生   白地に紅覆輪3、4、5、6英に咲き分ける。花径はおよそ11cm程度の小輪。
草丈は低く30cm程度。性質は普通、繁殖は良い。

江戸花菖蒲の古花の一つで、花菖蒲のなかで最も小型な品種としても有名である。盆養栽培に好適
な品種でもある。


この品種は、札幌の豊平区にある北海道農業専門学校の花菖蒲園から全国に広まった。この花菖蒲園
の起こりは、同園の創始者である栗林元次郎氏が、昭和30年代に日本橋三越百貨店で行っていた、日本
花菖蒲協会主催の花菖蒲展示即売会で毎年苗を求め、札幌の学園内に植えたことにはじまる。この「五三
の宝」もその中の一種類であったわけだが、 多分堀切から出たものであると考えられるが、どういうわけか
関東地方では、この花は絶えてしまっていた。その花が札幌の同学園に残っており、そこから再び広まった
わけである。

この品種から、同学園の教諭であった石山貞吉氏が、「八重五三」、「五三白」、「白天女」などの品種を育成し、
後に加茂花菖蒲園の一江氏も、「五三の月」、「五三拍子」など一連の五三系の品種を作出している。