加茂花菖蒲園花菖蒲データベース https://kamoltd.co.jp/katalog/index.htm



銀の詩   ぎんのうた   GIN NO UTA

江戸系   ビロード紅紫に鮮明な白糸覆輪の入る六英花。花径は約18cm前後の大輪。
1990年代になって、当園で紫に糸覆輪の入る系統の品種が多数作出された。これらは、
今までにない色彩でたいへん人気が高かったが、1997年頃からリゾクトニア性の立ち枯れ病
が花菖蒲に現れ、とくにこの系統はこの病気に弱く、栽培がたいへん難しくなった。
1996年、加茂花菖蒲園作


花菖蒲の育種について
育種とか、品種改良とかそんな難しいこととても出来ない。と思われている方も多いと思うが、
花菖蒲のあたらしい花を作ってみる程度なら簡単である。花菖蒲はタネを蒔いた次の年には
開花しタネも大きいので、種子からの栽培もペチュニアやパンジーより容易い。

タネからの栽培の方法は、NHK趣味の園芸人気品種と育て方ハナショウブ(花菖蒲)日本花菖蒲
協会 編
 などに詳しく紹介されているが、交配のポイントは、まずは自家受粉すること。一つの品種に
は育種家のそれまでの育種技術の結晶であり、単に自家受粉して採取したタネを蒔くだけで、親と
同レベル、またはそれ以上の花を割と簡単に得ることができる。「紅 桜」なども「千姫桜」の自家受粉
によるタネを50粒くらい蒔いた中から選んだものである。難しいことはしていない。
これが他の花と掛けたりすると、親同士の欠点ばかり現れたりすることもある。近親交配ばかりでは
むろんまずいことは事実だが、まず試してみるくらいなら、1株あれば可能な自家受粉に限る。
濃いピンクの花を作ろうと思うなら、「燎 火」や「火の舞」、「紅 桜」などを自家受粉すると良い。
紫に白覆輪がほしい場合は「銀の詩」などのタネをまけば出てくると思う。

しかし、良い品種ほど結実しないし、一つの莢から取れるタネも少ない。長井古種などは、一莢に50粒
もタネが入っているが、極大輪の八重などは入っていて5粒とか、まったく結実しない場合もある。しかし
その5粒を蒔けば、良い花が咲く。

熊本花菖蒲があれほど豪華な系統になったのは、一つは、菖翁から花菖蒲は既存の花に満足しないで、
さかんに品種改良してさらに良い花を作出して、それを楽しむ植物であると、初めから教えられたからだろ
うと思う。