加茂花菖蒲園花菖蒲データベース https://kamoltd.co.jp/katalog/index.htm



道中双六   どうちゅうすごろく   DHOCHU SUGOROKU

肥後系   晩生   濃い紫に白筋が鮮明に流れる六英花。花径はおよそ18cmを越す大輪から極大輪。
草丈はやや低く60cmほど。性質、繁殖は普通。

咲き始めとても濃い紫で、紅味、青味が混じる魅力的な色彩をしている。平尾先生の
作花の中では、昭和後期によく普及した代表的な品種の一つであるが、堂々とした良い花。


平尾先生の肥後系は、光田氏の肥後系にくらべ明るくさっぱりした感じを受ける。生前、西田衆芳園の
花と、広島の精興園の花を掛け合せただけだと話されてたと言うが、光田氏のように一つの系統を二度
三度戻し交配して、理想を追い続けるという育種ではなく、良いと思われる同士を交配して、その中から
良い品を選び出すという感覚的な育種であったように感じる。衆芳園と精興園という、系統の異なる
肥後系を交配したことにより、縁の遠い同士が交配され、衆芳園の肥後系よりも丈夫な品種が出来上がり、
花菖蒲園でも十分生育して、戦後の花菖蒲ブームの原動力となった。また先生が当園に自作の品種を
譲っていただき、当園で試作し、生産し、販売という形をとって全国へ広めたことも、平尾先生の花菖蒲
が有名になった原因の一つだと思う。

この品種は作出年代は不明だが、肥後系の育種は主に昭和30年代の中ごろに集中しているので、本種も
その頃の作花と思われる。