ノハナショウブ 北海道浜頓別町ベニヤ原生花園


99年7月19日撮影。ベニヤ原生花園は、北オホーツクの海岸の町北海道浜頓別町にある。浜小清水の原生花園
などにくらべマイナーなポイントだが、その分観光客も少なく、海岸草原の原生花園が楽しめる。

ここに自生するノハナショウブも、花は北海道の他の場所の個体と同じく、ほとんど紅紫色で、花径は6cm前後、
草丈は低くせいぜい40〜50cm程度だったと記憶している。自生していた場所は、雨が降った時だけ薄く水が溜まる
程度の草原のように思われた。ヒオウギアヤメやカキツバタも自生していた。



花菖蒲園というのは矛盾のかたまりのようなもので、もともと花菖蒲は花菖蒲園の環境を好んでいるわけではない。
人間が作った花菖蒲園とは、人工的に改良させ、性質が弱くなってしまった草を、「花菖蒲園」という自然状態では考え
られない過密で単一な群落を作り、自然では考えられない多肥栽培を行って花を観賞するものである。本来のこの花
の好む環境とは正反対の環境を人工的にむりやり作り上げているわけで、その代償として、草の性質が弱い。病害虫
が多発する。連作障害で同じ場所では徐々に出来が悪くなってくるなど、様々な栽培上の問題が発生し、どの花菖蒲園
もその対応に苦慮している。


そんな目からみるこの場所は、まさに理想の天然の花菖蒲園だった。これ以上のものは必要ないのではないかと思った。

はるか昔から、この場所はこうだったのだろう。

                                                    風吹いて これで充分  花あやめ






展望塔から写したベニヤ原生花園の全景。展望塔の内部の影が写ってしまっているが、北海道に多い海岸草原のノハナショウブ自生地の
様子がよくわかる写真なのでUPした。画像中央左よりに、わずかに褐色の柱のようなものが見えるが、これが原生花園の看板で、ここから
左に細い道が見えるが、この道の左右に無数のノハナショウブが群生している。しかし、川を渡った砂丘側には自生しておらず、画面中央の
湿原地帯や、手前のササが生い茂る場所にも自生していない。わずかな土地の高低のなかで、いちばん住みよい環境を選んで自生していた。