江戸花菖蒲現存古花一覧

このリストは『明治神宮御苑花菖蒲図譜』(昭和37年)を基に、大正末期までの文献や花菖蒲番付に記載され現存する品種、及び一般に古花と考えられている品種を加えて作成した。各品種の花容解説は、『江戸花菖蒲古花一覧』(ガーデンライフ1973年7月号(誠文堂新光社))を参考にした。1997年2月作成

 


品種名 読み 花容解説
純白三英
鶴の毛衣 つるのけころも 純白三英中大輪、菖翁花
初 霜 はつしも 純白三英中輪、早咲き
玉 鉾  たまほこ 純白三英中大輪、開花初期に玉咲きとなる
松ヶ枝 まつがえ 純白三英小輪、野生種に近い花形、現存不詳              
白竜の爪 はくりゅうのつめ 純白三英小輪、爪咲き奇花


純白六英
万代の波 ばんだいのなみ 純白六英受け咲き中輪
白 滝 しらたき 純白六英平咲き中輪
佐野の渡  さののわたし 純白六英平咲き中輪、群山の雪より蕊片が多い            
沖津白波  おきつしらなみ 純白六英中小輪、野生種に近い単純な花弁
峯の雪  みねのゆき 純白六英受け咲き小中輪
群山の雪 ぐんざんのゆき 純白六英平咲き中輪


白系三英
座間の森  ざまのもり 白に薄青刷毛目、垂咲き極大輪。慶応年間、武蔵園作
武蔵川 むさしがわ 白に鉾青紫糸覆輪、極大輪、別名「瑞雨の光」、明治時代小高園
紫衣の雪  しいのゆき 白に青紫深覆輪、中輪、別名「月の玉川」
秦王破陣舞 しんのうはちんまい 白に藍紫脈、鉾紅紫、大輪、吉野園作
深窓佳人  しんそうかじん 薄藤色に鉾薄紫の二色花、垂咲き大輪花、大正年代の作


白系六英
真 鶴 まなつる 白に僅か紅脈、平咲き中輪
九十九髪 つくもがみ 白に僅か青紫脈、受け咲き中輪、菖翁花                     


紫脈三英
形  あおいがた 淡紫地紫脈、芯鉾紫に糸覆輪、平咲き中輪
奥葵形  おくあおいがた 淡色地紅紫脈、芯鉾紫紅に糸覆輪、中輪
あおいまつり 淡青紫地紫脈、芯鉾紫に糸覆輪、中輪
青海波  せいがいは 白に青紫脈、芯鉾紫に糸覆輪、中輪
万里響  ばんりのひびき 淡色地紫脈、芯鉾紫に糸覆輪、中輪
奥万里 おくばんり 青色地に紫脈、芯鉾青紫に糸覆輪、中輪
大鳥毛  おおとりげ 淡紫紅地紫紅脈、芯鉾濃紅紫に糸覆輪、大輪
松葉重  まつばがさね 淡青地暗紫脈、芯鉾紫に糸覆輪、平咲き中輪
葵の上 あおいのうえ 淡紅地紅紫脈、芯鉾紅紫に糸覆輪、平咲き中輪
加茂川 かもがわ 淡色地濃紫紅脈、目周濃色、芯鉾濃紫に糸覆輪、中輪         
浦安の舞 うらやすのまい 青紫地紫脈、鉾濃紫、大輪
小町娘  こまちむすめ 白地薄紅脈、芯白鉾紅紫、小中輪
三筋の糸 みすじのいと 淡色地濃紫脈、芯鉾濃紅紫、中大輪
江戸錦  えどにしき 白地紫紅脈、芯鉾紫紅に糸覆輪、中輪
筑波根  つくばね 淡色地紅紫脈、つくばね状に咲く奇花


紫脈六英
蛇籠の波 じゃかごのなみ 白地青紫細脈、半八重にも咲く中輪、菖翁花
神代の昔 かみよのむかし 白地紫細脈、芯濃紫、中輪
川  いずみがわ 淡青地淡紫脈、芯淡紫、中輪
てるた 青地濃紫脈、芯濃紫、小中輪
五節の舞 ごせちのまい 淡紫地濃青紫脈、芯青紫、平咲き中輪、菖翁花
竜  のぼりりゅう 淡紫地暗青紫脈、半八重にも咲く狂い咲き中輪、菖翁花        
雲衣裳  くもいしょう 紅ぼかし地紅紫細脈、平咲き中輪、菖翁花
笑布袋  わらいほてい 淡色地濃藍紫脈、大輪、明治時代、小高園の作


淡紫系三英
鶴鵲樓 かくじゃくろう 藤紫地白太脈、垂れ咲き極大輪花
三笠山  みかさやま 藤色地、僅か藤砂子と紫散斑、受け咲き中輪、菖翁花        
五月雨 さみだれ 白地に淡紫の点絞、現存不詳
大江戸 おおえど 藤色無地、垂れ咲き大輪、明治時代、小高園の作
雨後の空 うごのそら 藤色中輪
四方の海 よものうみ 明青地白脈ぼかし、中輪
和田津海 わだつうみ 青紫に白小脈、中小輪、菖翁花
白糸の滝 しらいとのたき 藤色地、白脈、中輪
波乗舟 なみのりぶね 淡藤色、白脈、中輪
亀の井  かめのい 藤青色元濃、鉾薄紅紫、中大輪
煙夕空 けむるゆうぞら 藤紫無地、小中輪
霞の森 かすみのもり 淡藤色、垂れ咲き極大輪
浅妻船  あさづまぶね 青色地、僅か白脈、小中輪
黒竜の爪  こくりゅうのつめ 薄青紫、小中輪、爪咲き奇花


淡紫系六英
湖水の色 こすいのいろ 白地に極淡青色がかる平咲き、中輪
春日野  かすがの 淡藤地弁元濃砂子に紫細脈、平咲き大輪
連城の璧  れんじょうのたま 薄藤色底白ぼかし、小波弁の受け咲き、菖翁花           
汐の煙  うしおのけむり 淡紫地に白脈、中輪
鏡台山 きょうだいさん 紫青ぼかしに白脈、平咲き中輪
小青空  こあおぞら 薄青紫地に青紫砂子と小脈、平咲き中輪
八咫の鏡 やたのかがみ 藤色砂子、芯藤紫、平咲き大輪
蛇の目傘 じゃのめがさ ややくすみある藤色元濃、平咲き中輪
古照田 こてるた ややくすみある淡藤色元濃、平咲き中輪
明石潟  あかしがた 藤色地に底白ぼかし、平咲き中輪



淡紫系八重
うちゅう 淡青紫、白脈、八重狂い咲き中輪、菖翁花                    



紫系三英
江戸自慢 えどじまん 紺紫小中輪
かんせい 濃紫紺中大輪
はつおうむ 紺紫小中輪、早咲き
おおよど 紺紫、晩生大輪
ひでむらさき 紅味の濃紫、極大輪、明治時代、東京三田育種場作
あさか 紅味の紺紫、小中輪
磯千鳥  いそちどり 青紫小中輪
縞菖蒲  しましょうぶ 紅紫小輪、葉に白斑が入る 江戸中期より知られる最古花         
麒麟角 きりんかく 紫無地、中輪



紫系六英
王昭君 おうしょうくん 瑠璃紺無地、晩生大輪、菖翁花
しっぽう 藍紫元藍白脈入り平咲き中輪、菖翁花                 
五湖の遊 ごこのあそび 藍紫白脈平咲き中輪、菖翁花
滋賀の浦波 しがのうらなみ 納戸紫白太脈大輪、早咲き
くろくも 濃紺紫無地、平咲き中輪、晩生
雲の上 くものうえ 濃紫無地、極大輪
ほうだい 濃藍紫、狂い咲き
鬼ヶ島 おにがしま 濃紫紅大輪、芯濃藍紫
遊女の姿 ゆうじょのすがた 藍紫に白脈、大輪
子持熊  こもちぐま (花容不詳)



紫系八重
勇獅子 いさみじし 青紫白脈大輪、草丈高い
熊奮迅 くまふんじん 濃紺紫無地、六英〜半八重大輪、晩生                    
古稀の色  こきのいろ 紺紫淡色脈、六英〜半八重大輪



紫絞り三英
錦の褥 にしきのしとね 赤味紫に白流絞り、中輪
大鳴海 おおなるみ 紫に白小絞り、鉾紅紫、中輪                      
迦陵頻伽 かりょうびんが 紫に白小絞り、小中輪
鳴海潟 なるみがた 紫に白絞り、中輪
笑楽遊 しょうらくのあそび 納戸紫に白小絞り、中輪
鎌田錦 かまたにしき 藤紫に白絞り、中小輪
濡 烏 ぬれがらす 紅紫に僅か白小絞り、中輪



紫絞り六英
虎 嘯 こしょう 紅味藤紫に淡色絞、芯紫、平咲き中輪、菖翁花
すいれん 紫青に淡色の吹雪絞、晩生大輪
七小町  ななこまち 青紫と淡色の大小絞、平咲き中輪
撰  あずまえらび 納戸に淡色大絞、平咲き大輪
都の巽  みやこのたつみ 淡色地に僅か紅吹掛絞、弁元青ぼかし、中輪、菖翁花        
三歳松風  みとせまつかぜ 納戸に淡色吹雪絞、平咲き大輪
仙女の洞 せんにょのほら 濃紅紫に淡色流絞、中輪、菖翁花
ふじむすめ 紅紫に淡色流絞、中大輪
萩の下露  はぎのしもつゆ 紅紫に淡色流絞、大輪
濃仙女 のうせんにょ 濃紅紫に僅か淡色の小絞、「仙女洞」より変化
御幸簾 みゆきすだれ 藤紫に白吹雪絞、晩生大輪、別名「丹鳳楼」、菖翁花
翳 扇 かざしおおぎ 紅味藤紫に淡色吹雪絞、平咲き中小輪



紫絞り八重
蝦夷錦 えぞにしき 花容不詳                                      



薄紅系三英
霓の巴 にじのともえ 紅に底白ぼかし、やや垂咲中大輪
酔美人 すいびじん 紅に白筋底白ぼかし、受け咲き中輪
鳳凰冠 ほうおうかん 淡色地紅紫砂子絞、中大輪
日出鶴 ひのでづる 淡色地に紅紫砂子が密に入る中輪
蜀光錦  しょっこうにしき 白地に紅紫の絞、鉾紅紫のまだら絞、中輪
七福神 しちふくじん 小豆を含む紅に淡色小脈、中小輪
踊  さるおどり 明るい紅に淡色小脈、中輪
沖千鳥 おきちどり 藤含む薄紅に白小脈、中輪
立田川 たつたがわ 白に紅大覆輪、大輪、菖翁花
御所遊  ごしょあそび 藤含む薄紅、弁元白ぼかし、極大輪、吉野園作            



薄紅系六英
五月晴 さつきばれ 白に弁元薄紅刷毛目、平咲き中輪
紅葉の滝 もみじのたき 淡色地に紅と紫の砂子絞、芯は数本立ち先紅紫、大輪美花     
長生殿 ちょうせいでん 白に紅深覆輪、平咲中輪、万年禄三郎の作
おおさかづき 紅に白脈元白ぼかし、平咲き中大輪
酒中花 しゅちゅうか 白地紅紫覆輪、大輪、草丈低い
  かがりび 紅紫に白太脈、大輪
さくらがわ 淡色地に紅砂子絞、中大輪、草丈高い
淡仙女 あわせんにょ 淡色地に紅の吹雪絞、「仙女の洞」より変化
蝦夷桜 えぞざくら 淡色地に僅か薄紅砂子と紅脈、中輪
大和司  やまとつかさ 淡色地に薄紅砂子、芯先紫紅色、大輪



薄紅系奇花
五三の宝 ごさんのたから 紅紫に中白、三四五英の咲分け、小輪低性
玉宝蓮  ぎょくほうれん 薄紅紫の玉咲き奇花、中小輪
八重玉宝蓮  やえぎょくほうれん 藤味含む薄紅紫の玉咲き奇花、六英、中小輪
天女冠   てんにょのかんむり 薄紅紫に中白、多弁咲き奇花、中小輪
八重勝見  やえかつみ 淡色地に紅砂子入、台咲き奇花、晩生中輪            



紅紫系三英
こむらさき 紅紫に濃紫の脈、中小輪
  おおむらさき 紅がかる紫の無地、中輪
太平楽  たいへいらく 濃紅紫、中輪
朝神楽  あさかぐら 明るい小豆紅に白小脈、中輪
伊達道具 だてどうぐ 紅に白小脈、受け咲き中小輪                         
妙義の森 みょうぎのもり 紅に底白、三英中輪



紅紫六英
錦  はなにしき 紅に白脈、中輪
わかむらさき 濃紅紫に白糸覆輪、中輪
佐保路 さほじ 小豆紅無地、平咲き中輪
剣の舞 つるぎのまい 濃紅紫無地、平咲き大輪
獅子怒  ししいかり 濃紅紫狂い咲き中輪
夕日潟  ゆうひがた 紅に白小脈と底白、平咲き中輪                         
はながさ 濃紅紫に白太脈、中輪



紅紫八重
霓裳羽衣  げいしょううい 濃紅に白小脈、狂い咲き大輪、菖翁花                    



紅紫奇花
十二単衣  じゅうにひとえ 紅紫の四五弁に咲き分ける多弁咲き、小輪